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●京都新聞
2003年5月14日
「建築家と家づくり―選択肢いろいろ」(3)
◎工務店通さず直接発注/工事費が透明に
オープンシステムの試み

古い二階建ての町家が並ぶ京都市の中心街。料亭のような、しゃれた入り口の 建物が会社員の山田幸一さん宅だ。
一階は鉄筋コンクリートの外壁に格子戸をしつらえ、木造の二、三階は黄土色の塗り壁に丸や四角の窓を開けてある。「景観と調和の取れた住まい」という幸一さんと妻のレイさんの希望通り、モダンながら落ち着いた意匠で、古都の町並みに溶け込んでいる。

築百年以上の幸一さんの実家を両親と同居する二世帯住宅に建て替えるに当たり、夫妻はまず住宅メーカーを訪ねた。物足りず、建築家に頼もうと思ったが、つてがない。本を読みあさるうちに「オープンシステム」に出合った。
一般に建築家が住宅を設計する場合、工事は工務店に一括発注する。これに対しオープンシステムでは、施主が建築家を代理人として直接、大工や左官などの専門業者と契約する。システムを考案した鳥取県米子市の建築家、山中省吾さんは「間に入る工務店を外すことで、不透明だった工事費が明確になり、施主の思いを実現しやすくなる」と解説する。

システムに登録している建築家は全国で約二百六十人。昨年着工した住宅は計約三百五十戸に上る。山田夫妻は、施主と登録建築家を引き合わせるインターネット上の「お見合い」に参加してみた。システムのホームページに計画の概要を入力すると、建築家五人から返事が来た。個別に会って話し合った末、「用意周到で時間を無駄にしない」京都府亀岡市の古前極さんと契約した。
古前さんは多数の専門業者から工事の見積もりを募り、各分野で最安値のところを中心に十五業者に発注。さらに岡山県の材木市場からじかに構造材を買い付けるなど、コスト削減の努力を重ねた。その結果、設計料や建築家による現場監督の費用を含めても約二千七百万円、工事費だけなら坪(三・三平方メートル)当たり約五十万円という低価格を実現した。

システムには万一、住宅に欠陥が生じた際に補償する制度もある。ただ建築家が設計、施工のすべてを統括する仕組みだけに、家づくりが成功するかどうかは登録建築家の力量にかかっている。古前さんは「負担は重いが、システムのおかげで建築家同士の情報網ができて、エネルギーをもらえる」と話す。
施主も契約など通常より雑務が増える。「銀行になかなかシステムを理解してもらえず、ローンの手続きが大変だった」と幸一さん。「でも、自分の家をつくっているという実感があって楽しかった」と笑顔を見せた。

共同通信社の配信により、信濃毎日、沖縄
タイムスなど全国で約300万部の地方紙
に掲載されました。
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